山形県白鷹町にある「薬師桜(やくしざくら)」は、樹齢約1200年といわれるエドヒガンザクラの巨木で、山形県指定天然記念物にもなっている、白鷹町を代表する古典桜です。
以下に詳しく説明します。

歴史と伝説

薬師桜は、坂上田村麻呂が奥州征伐の際に手植えしたものと伝えられています。地元の豪族・久保氏の娘との悲恋の伝説も残されており、その歴史と物語が桜の魅力を一層引き立てています。薬師堂の傍らに堂々たる風格を保ち、古文献にも登場するなど、古くから人々に親しまれてきた桜です。

特徴

  • 樹齢: 約1200年という長い歴史を持つエドヒガンザクラです。
  • 樹形: 高さ約13m、枝張り東西約19.99mと大きく、堂々とした風格があります。以前の主幹は腐朽してしまったものの、後継となる現在の主幹が旺盛な成長を見せています。
  • 立地: 最上川の西岸、赤坂薬師堂のある高台の傍らにあります。旧栃窪街道の細道が桜と薬師堂の間を通っており、かつては樹の下を通っていたとも伝えられています。この立地により、樹が立つ場所は丘陵から遮断された高台となっており、独特の景観を作り出しています。開花時には最上川周辺から遠望できる見事な桜です。
  • 樹肌: ごつごつした樹肌で、多くのこぶが見られます。昭和初期の工場火災で半焼した損傷も残っていますが、力強く花を咲かせています。

見頃

例年の見頃は4月中旬~4月下旬です。この時期には、朝日連峰に残る残雪と桜のコントラストが息をのむほどの美しさを見せます。

桜まつり

毎年、薬師桜を含む白鷹町の古典桜を巡る「しらたか古典桜の里さくらまつり」が開催されます。メイン会場は「釜の越農村公園」ですが、各桜の場所でも様々な催しが行われることがあります。ただし、薬師桜自体のライトアップは通常行われません。

アクセス

  • 住所: 山形県西置賜郡白鷹町大字高玉4149-1 (または高玉3663)
  • 電車:
  • 山形新幹線「赤湯駅」からフラワー長井線に乗り換え、「蚕桑駅(こぐわえき)」下車、徒歩約20分~30分。
  • 山形鉄道「四季の郷駅」から徒歩約13分。
  • 車:
  • 東北中央自動車道「南陽高畠IC」から国道113号・287号経由で約30km、40分。
  • 山形自動車道「山形蔵王IC」から国道348号経由で約60分。

駐車場

薬師桜の近くに専用の駐車場はほとんどありません。多くの場合、徒歩数分の距離にある釜の越農村公園の駐車場(無料、約85台収容可能)を利用し、そこから遊歩道を歩いて向かうのが良いとされています。
白鷹町の薬師桜は、その歴史と荘厳な姿、そして周囲の景観が一体となって、訪れる人々に深い感動を与える桜です。