『週刊置賜』の創刊は昭和56年4月でした。🔷郷土発展に寄与する新聞🔷読者参加による読者新聞🔷郷土と郷土出身者を結ぶ新聞ーーーを理念に、同年3月に有限会社 置賜タイムス社を創設し、翌月11日に第一号の発刊にこぎ着ける事が出来たのですが、創刊当初の数年間は正直、地獄の月末でした。蓄えは底をつき、生命保険を解約しても、直ぐ次の月末が待っていました。

 基盤がどうにか安定し始めたのは、創刊から5年余りが経過してからでした。単年度決算でも、十万単位ではありましたが、黒字を計上するようになり、どうにか見通しが立つようになった時点で、今度は消費税が襲ってきました。

 平成元年の年間売り上額三千万円以上、3%のうちはどうにかなりましたが、平成9年4月以来の年間売上額一千万円以上、5%で、またまた厳しい現実となってしまいました。赤字であろうがなかろうが、有無を言わぬ消費税の徴収は、再び悪夢となって経営を襲って来ました。

やむなく同9年4月から、購読料をそれまでの税込み1ヶ月800円から税別800円とし、消費税分の40円だけ値上げさせて頂きました。

 その事で、どうにかとんとんの収支状況となり、今日までを迎える事となったのですが、当初6頁でスタートした誌面は8頁となり、更に12頁へと増えていきました。

 31年間を振り返りますと、ただただ感謝の思いで一杯であります。毎週土曜になると、早朝早々と、「まだ週刊置賜が来ない」とお電話を下さる読者。また1日待ったが「来ないので取りに来た」とわざわざ本社までお出で下さる読者の方。あるいは「近く廃業するが、週刊置賜がなくなると困るから」と1年先の広告料まで収めて下さったスポンサーの方。本誌31年間の歩みは、こうした皆様方の思いとお心に支えられての31年間だったと思います。

 年間を通じてご支援してくださるスポンサーの皆様は、企業・団体・個人合わせまして70余りになっております。また年2回の特集広告をご支援しえくださる皆様方を含めますと、150余りとなります。心より、心より感謝の思いであります。

 弱肉強食の新自由主義思想が世界を走り、構造改革路線が有無を言わせず導入される中で、地方は瀬死の状態に追いやられています。

 命をつなぐ水と食料基地としての山林や農地は荒れに任せ、働きに働いても、生活が成り立たない現実となっています。かくて山村地域は閉村を余儀なくされ、町場では、行き場のない高齢者世帯だけが、置き去りされた今日社会となっています。

 そうした、効率と利益最優先の下、拝金思想が横行する中で、土着の思想を揚げて39年前に週刊置賜を創刊したのでありますが、果たしてこれまで、何を成し得たかと自問しますと、甚だ心許なくなるのも、事実であります。

 将来の見えない孤立社会の中で、読者と地域を結ぶ絆としての役割を肝に銘じて走ってまいりましたが、グローバル化の波は高まるばかりで、泳ぎ登っても登っても、波は高く、その頂きは遠のいていくばかりであります。

 自らが展望を持てない中で、このまま走り続けたとしても、果たして責任が持てるのだろうかと、自問自答した次第であります。

 そして、暫くは走るのを止め、先ずは自らの足下を見詰め直し、新たな展開が必要だと、休刊をお願いするところとなりました。これまで学ばせて頂いた置賜学を改めて学び直し、新たなスタートへと結びたいと考えておりました時に、WEBで置賜タイムスを継続してはとアドバイスを頂き、新たな仲間を迎え、形式を変えて情報発信していく事になりました。今まで同様、変わらぬご支援をよろしくお願いします。

置賜タイムス社 加藤 茂