山形県白鷹町(しらたかまち)は、山形県の南部、置賜(おきたま)地域に位置する、自然豊かな町です。町の中心を最上川が流れ、東部には白鷹丘陵、西部には朝日山系が広がり、三方を山に囲まれた盆地を形成しています。白鷹町が紅花の生産量日本一を誇ることから来ており、紅花だけでなく、紅い特産品(米沢牛、馬肉、ミニトマトなど)を「シラタカ・レッド」として発信しています。古くから各集落にそば打ち名人がいた歴史があり、独自のスタイルの蕎麦屋が多いことから「隠れ蕎麦屋の里」ともいわれています。

地理と気候

 * 地理: 最上川が町の南北を貫き、川沿いには肥沃な田園地帯が広がっています。
 * 気候: 内陸性気候で、夏は高温多湿で35℃を超える日もあり、冬は日本海からの季節風の影響で寒さが厳しく、豪雪地帯に指定されています。ただし、西置賜郡の中では積雪は比較的少ない方です。朝夕の寒暖差が大きいことが特徴です。

歴史

白鷹町は、古くからの歴史と文化が息づく地域です。
 * 合併による誕生: 昭和29年(1954年)10月1日に、荒砥町、鮎貝村、東根村、白鷹村、十王村、蚕桑村の1町5カ村が合併して「白鷹町」が発足しました。その後、昭和30年(1955年)には西村山郡朝日町の一部を編入し、現在の町域となりました。
 * 羽越水害: 昭和42年(1967年)8月には、羽越水害が発生し、最上川の氾濫による冠水被害に見舞われるなど、水害の歴史もあります。
 * 紅花の歴史: 白鷹町は古くから紅花の栽培が盛んで、江戸時代には置賜領内で半数以上の紅花が白鷹町で生産されていた記録があります。保存性が高く鮮やかな「紅餅」に加工する技術が確立され、「最上紅花」として全国に知られました。太平洋戦争で一度途絶えかけた紅花生産ですが、戦後、残っていた種から見事に復活を遂げ、現在では紅餅、すり花、乱花の生産量が全国シェア6割を超える日本一の生産地となっています。白鷹町は「日本の紅(あか)をつくる町」をキャッチフレーズに掲げています。
 * 養蚕と和紙: かつて養蚕も盛んでしたが、衰退とともに天蚕(てんさん)の飼育などへと技術が継承されています。約400年の歴史を持つ「深山和紙」も伝統文化として受け継がれています。
 * 古典桜の里: 樹齢500年以上のエドヒガン桜の古木が多く点在することから、「古典桜の里」としても知られています。

産業と特産品

白鷹町は、その豊かな自然と歴史に育まれた多様な産業と特産品があります。
 * 紅花: 「日本の紅をつくる町」として、紅花の生産量が日本一です。紅花から作られる紅餅や染料は、日本の伝統文化を支えています。
 * 米沢牛: 日本三大和牛の一つ「米沢牛」の主要な生産地の一つでもあります。
 * 米: 最上川の恵みを受けた肥沃な土地で、美味しい米が生産されています。
 * 果物・野菜: りんご、さくらんぼ、ミニトマト、あけび(全国一の生産量)など、様々な果物や野菜が栽培されています。特に「SHIRATAKA RED」として、紅花だけでなく、トマトや米沢牛など、赤色に着目した特産品のPRにも力を入れています。
 * 鮎: 最上川で獲れる「もみじ鮎」が有名で、道の駅「白鷹ヤナ公園 あゆ茶屋」では、鮎の塩焼きや加工品が提供されています。
 * 蕎麦: 「隠れ蕎麦屋の里」として、地元に根付いた蕎麦文化があり、生粉打ち、細打ち、濃いタレが特徴とされています。
 * 酪農: 県内トップクラスの生乳生産量を誇ります。
 * 深山和紙: 約400年の歴史を持つ手漉き和紙で、体験も可能です。

観光・名所

 * 古典桜: 樹齢1000年ともいわれる「子守堂のサクラ」や「薬師ザクラ」「十二の桜」「釜ノ越桜」など、多くのエドヒガン桜の古木が点在し、春には「しらたか桜まつり」が開催されます。
 * 白鷹ヤナ公園 あゆ茶屋: 最上川の伝統的な「やな漁」を体験できる施設で、新鮮な鮎料理が楽しめます。
 * 紅花の館: 紅花染め体験などができる施設で、白鷹町の紅花文化に触れることができます。毎年夏には「紅花まつり」が開催されます。
 * 深山和紙振興研究センター: 深山和紙の紙漉き体験ができます。隣接する「深山工房 つち団子」では陶芸体験も可能です。
 * いきいき深山郷 のどか村: 築160年の養蚕農家を移築した農家レストラン・民宿で、そば打ちや農村体験ができます。
 * 白鷹スカイパーク: 白鷹山はパラグライダーに適した場所で、体験フライトも可能です。
 * 白鷹町歴史民俗資料館「あゆみしる」: 町の歴史や文化、人々の暮らしを学ぶことができる施設です。
白鷹町は、美しい自然景観と、紅花や古典桜に代表される歴史的な文化、そして豊かな食が楽しめる魅力的な町です。