山形県高畠町にある安久津八幡神社は、悠久の歴史と茅葺き屋根の美しい建造物群が特徴の神社です。置賜地方唯一の三重塔をはじめ、本殿、舞楽殿といった県の指定文化財を有する、高畠町の歴史的シンボルとして親しまれています。

歴史

  • 創建と由来: 貞観2年(860年)、慈覚大師(円仁)がこの地を訪れ、豪族の安久津磐三郎の協力を得て阿弥陀堂を建てたのが始まりとされています。その後、源平合戦の時代には、奥州安倍一族討伐の命を受けた源義経が戦勝を祈願し、大勝したことから源氏の氏神である八幡神社を建立したと伝えられています。
  • 度重なる再建と人々の支え: 長い歴史の中で、廃絶や火災に見舞われたこともありますが、その都度、当時の地域の人々の寄付や支えによって再建されてきました。現在の本殿は宝暦5年(1755年)に、三重塔は寛政9年(1797年)に再建されたものです。これらの再建は、人々の信仰心の篤さを物語っています。

見どころ・建築様式

  • 安久津八幡神社の境内には、苔むした石畳の参道が続き、厳かで神聖な雰囲気が漂います。特に以下の3つの建造物は、山形県の指定文化財となっています。
  • 三重塔(県指定有形文化財)
  • 特徴: 置賜地方唯一の層塔であり、端麗な姿が印象的です。方三間造で銅版葺きの屋根を持ちます。
  • 歴史: 初建は寛永2年(1625年)ですが、烈風で倒壊し、寛政9年(1797年)に再建されました。
  • 立地: 参道入口の左手、三島池の中島に建っており、その姿は周囲の自然と見事に調和しています。

本殿(県指定有形文化財)

  • 特徴: 茅葺き屋根が特徴的な「三間社流造(さんげんしゃながれづくり)」と呼ばれる神社建築様式で、正面の屋根が長く伸びています。桁行三間、梁間二間の一重構造で、軒組は和様出三斗、棟の両端には鬼面板をあげるなど、優れた手法が用いられています。
  • 歴史: 現在の本殿は宝暦5年(1755年)に再建されたものです。
  • 雰囲気: 茅葺き屋根には苔や草が生え、二百数十年経った威風は、堅牢豪胆なイメージではありませんが、揺るがない時の深さを感じさせます。

舞楽殿(県指定有形文化財)

  • 特徴: 室町時代末期のものといわれ、方一間宝形造(ほういっけんほうぎょうづくり)という4つの屋根がすべて三角形の独特の様式で建てられています。屋根は茅葺きです。
  • 神事: 毎年5月3日には「倭舞(やまとまい)」、9月15日には「延年の舞」が気品高く、古式豊かに舞われます。この延年の舞は、社人権太夫が44代にわたって一子相伝で伝承してきたもので、現在は保存会が継承しています。
  • その他、境内には鐘つき堂や流鏑馬的場跡などがあり、裏山一帯には安久津古墳群が点在しています。奥の院の洞窟、片葉の葦、爺婆石、弘法清水などの伝説も残されており、見どころが豊富です。

御朱印

現在、安久津八幡神社の御朱印は、道の駅たかはたでは取り扱っていません。宮司さんも常駐ではないため、事前に確認が必要です。個人のブログ等で紹介されているものは、過去に授与されたものの場合があります。
安久津八幡神社は、豊かな自然の中に佇む歴史的な建造物群と、受け継がれる伝統文化が魅力の神社です。静寂な空間で、悠久の歴史に触れることができます。

?アクセス

  • 所在地: 山形県東置賜郡高畠町安久津2011
  • 公共交通機関: JR高畠駅より車で約15分〜20分。
  • 車: 東北中央自動車道「南陽高畠IC」から約10分。駐車場もあります。